【コラム】上手な債務整理3 ~債務整理の現場から~

2015-05-15

 

第三回 自己破産、必ずしもしなくても良い場合

 

 様々な事情で返済しきれない債務(借金)を負担してしまった方に、少しでも上手に債務整理をしていただくためのコラム第三回です。

 第三回目は債務整理、特に自己破産について、する必要がある場合と必ずしもする必要が無い場合についてお話します。

 多額の負債で返済不能となった場合に、債権者はまず不動産や預貯金などに差押をしてきます。そして次に給料などの継続した収入に対しての差押をします。そして、仮に自己破産をしたとしても、自由財産として認められる一定の金額(最大99万円)以外は債権者に分配されますので、結果として違いはありません。

 しかし、一方で給料などの継続的収入については、自己破産の申立てをすることにより差押が禁止されます。もちろん非常に高額な収入を得ている場合には一定の制限はありますが、破産者の生活を守るためにこのような差押の禁止がなされているわけです。すなわち多額の債務(借金)の返済が不能な状態ではあっても、仕事があり継続して収入がある場合などには、生活を守るために早期に自己破産の手続きを取る必要があります。

 ところが一方で、今現在収入が無く、生活保護の受給をしている場合や、生活保護の受給を検討している場合、または高齢の方で年金で生活をしている場合などはどうでしょう。生活保護の制度は、憲法上の規定により国民に最低限度の生活を保障するための制度ですから、生活保護費に対する差押は当然に禁止されていて、また生活保護費からの債務の返済も禁止されています。そして年金も高齢者の生活のための資金ですから、この年金に対しての差押もまた禁止されているわけです。

 簡単に言えば、上記のような場合には債権者としては回収のしようが無いわけで、債務者側からすれば必ずしも自己破産をする必要が無いとも言えます。

 もちろん自己破産をすることにより、債務を帳消しにすることが出来、請求されることも無くなりますから大きなメリットはあります。

 ただし、資金の問題であったり、ご本人様のプライドの問題などで、どうしても破産をしたくない場合などもあります。

 このような場合にもきちんと説明することなく、強引に自己破産をすすめる弁護士もおりますのでみなさんご注意ください。

 

《上手な債務整理の基礎知識》

メリットの無い自己破産もあります、判断は慎重に!

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