【ブログ】未払い賃金の立替金制度について2
皆さん,こんにちは。
千代田区神田にある法律事務所,アトラス総合法律事務所の山本です。
今回は,前回の続き,「未払賃金の立替払制度」についてです。
前回も触れましたが,企業が倒産(破産)した場合,従業員(労働者)にとってみれば,働いた分の給料(賃金)や退職金が支払われるかどうかはまさに死活問題です。「未払賃金の立替払制度」を利用するためには,細かな要件が決められていますので,今回は大枠の説明をしていきます。
①「立替払を受けられる人」
まず,会社が破産手続きを裁判所に申立てた日(例えば,平成27年1月26日とします。)を基準として,この日より6か月前の日を確認します(平成26年7月26日)。この平成26年7月26日から2年後の平成28年7月25日までの間に当該会社を退職した人が立替払の対象となります。
ちなみに,「6か月前」や「6か月後」といった期間計算の仕方については,「民法」という法律に期間の数え方の条文がありますので,別の回で書いてみたいと思います。
②「立替払の請求ができる期間」
破産手続開始決定の日の翌日から数えて2年以内に未払賃金の立替払請求書を独立行政法人労働者健康安全機構(以下,「機構」といいます。)に提出する必要があります。
③「立替払の対象となる賃金」
退職した日の6か月前の日から,機構に対する立替払請求の日の前までに支払期日が到来している「定期賃金」及び「退職手当」です。
定期賃金とは,労働基準法24条2項に定められており,基本給や家族手当,通勤手当などです。
④「立替払される金額」
未払賃金総額の100分の80の額です。ただし,退職日の年齢により立替払の額に制限があるため,注意が必要です。
このように,「未払賃金の立替払制度」を利用するためには,要件や請求の手続きが細かく決められていて,上記で説明したように期間の制限があるものもありますので,突然勤めている会社が倒産してしまい,しかも未払いの給与があって悩んでいる方は,是非すぐに法律の専門家である弊所弁護士までご相談ください。