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【ブログ】法的整理の各制度1

2017-08-22

 こんにちは。東京都千代田区神田にある法律事務所,アトラス総合法律事務所の佐々木です。今日は,法的整理の制度である,「破産」と「民事再生」について書いていきたいと思います。

 1 破産とは
 破産は,裁判所に申立人(破産する人)の全資産はこれです,と報告して,その資産を各債権者で公平に分配する手続です。そして,この人は同じ過ちを繰り返さない,と裁判所に判断されれば,借金を支払う義務が免除されます(「免責」といいます。)。なので,浪費やギャンブルなどは癖になっていることが多く,そのような事情がみられる場合には免責されないこともあります。破産は,個人・法人問わずできます。
 破産手続は,特に法人の場合には,同手続によって社会での活動が終了することになりますので,「清算型」の倒産処理手続ともいわれます。一方,個人の場合は同手続後も社会の中で生きていくワケですから,この分類には必ずしも当てはまらないかもしれません。

 2 民事再生とは
 民事再生法に定められた手続きに沿った倒産処理の方法です。破産との違いは,破産は申立人の今ある財産を分けて債権者を満足させるものですが,民事再生は今ある財産を残すことができます。ですので,どうしても自宅だけは残したい,というような場合に適した法的整理といえます。その代わり,破産では裁判所が認めれば借金を全額払わなくてよいことになるのに対して,民事再生では借金の一部を数年かけて支払っていくのです。
 民事再生についても個人・法人を問わずできますが,個人再生の場合には,住宅ローン特別条項という,マイホームを持っている人に適用されるものもあります。
 民事再生手続は,債務者が築いた財産の一部を残しつつ,もう1度やり直す,いわば再び立ち上がるようなイメージですので,「再建型」や「再生型」の倒産処理手続といわれます。

 3 次回は,法的整理の各制度についての続きとして,「会社更生」と「特別清算」について書きたいと思います。

 

【ブログ】「法的整理」と「私的整理」

2017-07-31

 こんにちは。東京都千代田区神田にある法律事務所,アトラス総合法律事務所の佐々木です。今回は前回の続きで,「法的整理」と「私的整理」はどのような借金の整理の方法で,それぞれのメリットはなにか,について書きたいと思います。

 1 法的整理

 法的整理は,法律に定められたルールによって倒産処理をする方法です。例としては,破産,民事再生(個人再生),会社更生,特別清算などがあります。

 

 2 私的整理

 私的整理は,債権者と債務者の話し合いによって倒産処理をする方法です。例としては,任意整理,特定調停などが挙げられます。

 

 3 法的整理と私的整理のそれぞれのメリット

 (1) 法的整理

  法的整理の場合には,ルールが法律に定められている以上,明確で公正な,債権者にとっては公平な手続となります。

 (2) 私的整理

  私的整理の場合は,債権者との話し合いによって整理方法を決めることができるタメ,債務者は各債権者との間で,柔軟に借金についての約束をすることができます。

 

 4 次回は・・・

 法的整理の各制度について,もう少し詳しくみていきたいと思います。

 

【ブログ】最近話題の会社の倒産

2017-07-24

 

 こんにちは。東京都千代田区神田にある法律事務所,アトラス総合法律事務所の佐々木です。関東地方は梅雨も明けて夏本番,といったところですね。個人的には夏は好きな季節ですが,近年では熱中症にかかる方も増加しており,無理に我慢せずに暑さに対処していきたいですね。

 さて,今日からのテーマは,「倒産」です。少し前には旅行会社のケースとか,最近では学校法人のケースなどで何かと話題ですよね。民事再生ではちょっと再建が難しそうだから破産手続に移行して清算するとかしないとか。

 でも,民事再生とか破産とか再建とか清算とかよくわかんない,という方も多いと思いますので,これらニュースをもっとよく理解するため,一緒に勉強していきましょう。

  まず,経営状況が悪化した会社(法人)や生活状況が悪化した個人が,頑張れば状況を立て直せるなら再建,どう頑張っても立て直せないようであれば清算をしましょう,となるのですが,その方法として,「私的整理」と「法的整理」に分けられます。これは,法的な倒産手続によらずに借金を整理していくのか,法的な手続によって借金を整理していくのか,といった分け方です。

 では,それらは何がどう違って,それぞれのメリット・デメリットは何なのか,次回以降,説明をしていきたいと思います。

 

【ブログ】自己破産と個人再生4 破産管財人

2016-08-08

 皆さん,こんにちは。アトラス総合法律事務所の山本です。

 

 私は,今年の3月に都内のロースクールを卒業して5月に司法試験を受験し,現在に至ります。この間に自分が得たものは沢山あります。たとえば,法律の知識はもちろんですが,一生の付き合いになるであろう学友や,近くで支えてくれた人の優しさ。

 でも,君だけは余計だったな~。そう,君の名前は,「体脂肪」。

ということで,最近,近所を走ってダイエットしてま~す。

 

 さて,今回は,破産管財人について書いてみます。

 

 破産法2条12項では,「「破産管財人」とは,破産手続において,破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者をいう。」と規定しています。

 つまり,破産管財人とは,裁判所から選任されて,債権者へお金を配当するために破産者(債務者)の財産を整理したり,破産者(債務者)に免責不許可事由がないか否かをチェックしたりする人のことをいいます。申立代理人とは別の,中立な立場の弁護士が選任されます。

 そして,破産法78条1項は,「破産手続開始の決定があった場合には,破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は,裁判所が選任した破産管財人に専属する。」と規定しています。たとえば,破産者(債務者)が,破産手続開始決定時に,20万円(東京地裁の運用)を超えるような価値の自動車を所有していたとします。この場合には,その車の管理・処分権限は,破産管財人に移ることになります。したがって,破産者は,自動車を自由に使ったり,ましてや勝手に売却したりすることはできなくなります。

 また,破産手続開始決定後は,破産者(債務者)宛ての郵便物は,破産管財人の下へ転送されることになります(破産法81条1項。東京地裁では,全件について転送の嘱託がなされる。)。これにより,破産管財人は,破産者が財産を隠していないか,債権者に漏れがないか,免責不許可事由がないか等を調査していくことになります。

 

 次回へ続く…

【ブログ】自己破産と個人再生3 免責不許可事由

2016-08-02

 皆さん,こんにちは。アトラス総合法律事務所の山本です。

 東京は梅雨が明けて,いよいよ夏本番ですね。夏になると,なぜか,白地に青の水玉模様でお馴染みの水で薄めて飲むあの乳酸菌飲料が無性に飲みたくなります。てか,ほぼ毎日家で飲んでいます。

 さて,前回は,「免責手続」について説明しました。そこで,今回は,免責手続においてもっとも注意しなければならない,「免責不許可事由」について説明したいと思います。

 では,根拠条文である破産法252条1項を見てみましょう。といっても,免責不許可事由は,同条同項1号~11号まであるため,今回のブログですべて説明することはできません。そこで,今回は,4号の「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ,又は過大な債務を負担したこと。」にしぼって説明します。

 まずは,「浪費によって過大な債務を負担した」についてです。

 私が調べた裁判例(東京高決平成16年2月9日判タ1160号296頁)では,浪費に該当することを「地位・職業・収入及び財産状態に比して通常の程度を超えた支出をした」や「前後の思慮なく財産を蕩尽した」と表現していました。そうすると,浪費にあたるか否かは,一律に決まるものではなく,破産者の具体的な地位・職業・収入・財産状況と支出を総合的に判断して決まることになります。 

 次は,「賭博その他の射幸行為によって過大な債務を負担した」についてです。

 裁判例(東京高決昭和61年5月28日東高民37巻4≂5号35頁や東京高決昭和60年11月28日判タ595号91頁等)を調べてみると,裁判所は,賭博その他の射幸行為によって過大な債務を負担したか否かを,「賭博が破産に至った根本原因なのか,それとも債務を負担することになった一つの遠因に過ぎないのか」という基準で判断しているようです。

 債務を負担した主要な原因がギャンブルというような場合には,4号に該当するということですね。

 以上,免責不許可事由の「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ,又は過大な債務を負担したこと。」(破産法252条1項4号)の説明でした。

【ブログ】自己破産と個人再生2 免責手続

2016-07-28

 皆さん,こんにちは。アトラス総合法律事務所の山本です。

 前回は,「破産手続」だけでは,清算後の残った債務は無くならないということを書きました。でも,読んでくださった方の中には,「嘘つくなよ~!破産手続は,債務が無くなる手続だろ~!」と思う方もいるのではないでしょうか。

 でも,本当です。

 なぜならば,債務が無くなる(正確には,責任が無くなる)手続は,「免責手続」だからです。そこで,今回は,「免責手続」について説明します。

 まずは,破産法の条文を見てみましょう。

 破産法は,第12章以下で,免責手続について規定しています。

 具体的に見てみると,破産法248条1項は,「個人である債務者(破産手続開始の決定後にあっては,破産者。第四項を除き,以下この節において同じ。)は,破産手続開始の申立てがあった日から破産手続開始の決定が確定した日以後一月を経過する日までの間に,破産裁判所に対し,免責許可の申立てをすることができる。」と規定しています。

 そして,同法253条1項柱書本文で,「免責許可の決定が確定したときは,破産者は,破産手続による配当を除き,破産債権について,その責任を免れる。」と規定しています。

 したがって,「破産手続」と「免責手続」は別の手続きであること,また,「免責手続」によって債務(正確には責任)が無くなるということになります。

 もっとも,破産法248条4項には免責許可申立てのみなし規定がありますし,実務では,破産手続の申立てと一緒に免責許可の申立ても行っているため,実は二つの手続きを行っているということが分かりにくいのかもしれませんね。

 以上が,「免責手続」の説明でした。

【ブログ】自己破産と個人再生1 破産手続

2016-07-26

 皆さん,こんにちは。アトラス総合法律事務所の山本です。好きな食べ物は,ハンバーグです。

  さて,今回からは,当事務所へのご相談の中でもその数が多い「自己破産」制度について書いてみたいと思います。

 「自己破産」制度について,皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?おそらく,積極的に良いイメージを持っている方は,多くはないと思います。まずは,「破産法」の条文から見てみましょう。

 破産法2条第1項は,「この法律において「破産手続」とは,次章以下(第12章を除く。)に定めるところにより,債務者の財産又は相続財産若しくは信託財産を清算する手続をいう。」と規定しています。

 簡単にいうと,「破産手続」とは,「債務者の財産を清算する手続」ということになります。「清算」とは,債務者の財産を換価して,債権者に弁済を行うことをいいます。

 そうすると,持っている財産を換価しても,全額の弁済ができない場合には,ご自身の債務はまだ残っていることになりますよね。では,この残った債務はどうなるのでしょう。

 次回は,この点について書いてみます。

【ブログ】債務整理と養育費・婚姻費用

2016-04-22

~東京 千代田区 神田の弁護士 新谷朋弘より~

 皆様こんにちは,アトラス総合法律事務所代表弁護士のあらやです。今,世間で注目の話題を取り上げ,ブログでつづりたいと思います。

 破産手続や個人再生手続,または任意整理手続を含めた債務整理を行う場合,一般的に対象となるのは,銀行系カードローンや消費者金融系の借金ですが,毎月の婚姻費用や養育費の負担が大きいことを理由に債務整理を考えている場合,月々の婚姻費用や養育費も債務整理の対象となるのでしょうか。

 実は,裁判所で決められた婚姻費用や養育費は,債務整理手続の中で免除や減額をすることはできません。破産手続や個人再生手続を行ったとしても,婚姻費用や養育費は当初に決めた条件のままで支払い続けなければなりません。

 ただし,債務整理手続では出来ないだけであって,このような場合,家庭裁判所を通して婚姻費用や養育費の見直しを求める調停を申し立てる方法により,婚姻費用や養育費の月額負担を減らしていくことになります。

 婚姻費用や養育費支払でお困りの方は,初回相談無料のアトラス総合法律事務所へお気軽にお問合せください。

【ブログ】任意整理をすると連帯保証人に影響は?

2016-04-15

~東京 千代田区 神田の弁護士新谷朋弘より~

 皆様こんにちは,アトラス総合法律事務所代表弁護士のあらやです。借金問題や債務問題を取り上げ,ブログでつづりたいと思います。

  借金問題の解決方法として,破産手続を採らず,任意整理の方法により,銀行や消費者金融業者と返済方法の見直しを行い,毎月返済を行う方法を検討される方も多いと思います。

 ただし,債務の中に連帯保証人がついている場合,注意が必要です。

 連帯保証とは,債務者の返済状況が悪化し,滞ってしまうと,債権者は連帯保証人に支払いを請求することが出来ます。そうすると,連帯保証人は支払わなければなりません(いわゆる借金の肩代わりです。)。

 債務者が任意整理の手続を始めたことを債権者が知れば,連帯保証人に借金の支払の請求や督促されることになりますので,連帯保証人がついている債務を任意整理する場合には,事前に連帯保証人と協議しておくことをお勧めします。

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