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【ブログ】破産者マップについて
こんにちは,東京都千代田区神田にある法律事務所,アトラス総合法律事務所の山本です。
最近,破産した人の情報がネットの地図上に表示されるという問題が世間を騒がせていますね。今日はこの問題に少し触れてみたいと思います。
まず,破産した方の情報は,官報に公告されます。法律上の根拠は,破産法32条1項及び同法10条1項です(破産手続開始決定の公告)。では,なぜ官報公告をする必要性があるのでしょう。ひとつは,破産手続では,破産債権者など多数の利害関係人が関与するため,裁判の告知や書面の送付を速やかに,かつ,経済的に実施する方法をとることが必要であることが挙げられています。例えば,官報公告は,破産手続開始決定に対する即時抗告期間の起算日の基準となっています(破産法33条1項,同法9条,同法10条2項)ので,官報公告を行う必要性が認められます。
このような官報公告の必要性があるとしても,公告された情報を,あえてネットの地図上に表示することにどのような意味があるのでしょうか。「ネット上での公開」という日本中だけではなく全世界に向けられた方法で,しかも,転載やスクショ等により半永久的に記録として残ってしまう結果をもたらす今回の問題について,様々な意見が出ています。皆さんは,どう思われますか。
【ブログ】住宅ローンと不動産と債務整理
皆さん,こんにちは。
千代田区神田にある法律事務所,アトラス総合法律事務所の山本です。
住宅ローンを組んでマンションや自宅を購入したものの,転職や病気による減収,あるいは離婚等の理由によって,住宅ローンを滞納してしまい困っているという相談が寄せられることがあります。このような場合,どのような法的対処が必要となるのか,考えてみましょう。
まず,住宅ローンを組んだ人が,法的対処を何も取らない場合を考えてみましょう。住宅ローンの滞納が続き,これ以上返済が難しいということになれば,住宅ローンの債権者(銀行や保証会社等)が裁判所に対して,抵当権に基づいて不動産競売を申立てて,競売手続の中で不動産が処分されます。競売代金は住宅ローン債権者に配当され,これにより完済できればいいですが,債務が残ってしまう場合もあり,この場合は,残債務を完済するまで返済を続けていくということになります。このように住宅ローンの残債務がある場合,その額が大きければ大きいほど,その後の生活を圧迫します。住宅ローン以外にも借金があればなおさらです。
次に,破産手続を選んだ場合はどうでしょう。抵当権者たる住宅ローン債権者は,破産法上「別除権者」という特別な地位を与えられますので,破産手続とは別に,不動産競売を申立てることが可能です。もっとも,債務を免責する免責手続が合わせて行われますので,残債務が免責されることになり,住宅ローンの残債務や他の借金を返済する必要がなくなり,経済的に更生することが可能となります。
最後に,弁護士は債務整理の専門家として,ご相談者のご希望や状況を検討した上で,債務整理手続の一環として,住宅の任意売却を行う方法や,不動産を持ち続けたい方のための個人再生手続(住宅ローン特則)等の方法を提案することも可能です。是非ご相談ください。
【ブログ】会社の破産と経営者の破産
皆さんこんにちは。
東京の千代田区神田に事務所を構えるアトラス総合法律事務所の山本です。
今回は,会社が多額の負債を抱えてしまい返済が困難となってしまった場合の,会社の破産手続と経営者(代表取締役)の破産手続についてブログを書いてみます。
町工場や従業員が10人位のいわゆる中小零細企業においては,会社の負債について,経営者(代表取締役)や経営に携わるその家族が連帯保証人になっていることが一般的だと思います。
このような会社が多額の負債を抱えて返済が困難な状況に陥り破産手続を行うことになった場合,連帯保証人である経営者(代表取締役)もその多額の負債を支払うことは困難であると考えられるため,連帯保証人についても破産手続を行う必要性が生じます。
会社の破産手続は,裁判所に破産手続開始の申立書を提出し,裁判所が破産手続開始決定という決定を出して始まります。この申立書を作成するためには,会社の決算書や確定申告書を確認しながら,現金・預金・売掛金等の会社の資産や,長期借入金・支払手形・買掛金等の会社に対する債権者及び債権額を正確に一つずつ(一社ずつ)調査確認する作業が必要になります。
経営者(代表取締役)の破産手続についても,経営者にどのくらいの資産があるのか,会社のどの負債について連帯保証人になっているのか,個人名義の負債はどのくらいなのか,税金の滞納はあるのか等々について,正確に調査確認して裁判所に申告する必要があります。
このように,会社及びその代表者の破産手続は,ご自身で対応することがとても大変であり,精神的な負担も相当大きいのが実情です。
弊所では,会社と経営者(代表取締役)の破産手続を多数扱ってまいりました。そのため,弊所弁護士及びスタッフは,ご自身の人生を賭けて作った会社を思う経営者の気持ちを理解しております。会社の負債について,返済が困難な状況に陥って悩んでいる方がいらっしゃいましたら,是非弊所までご連絡ください。
【ブログ】主債務者の破産と(連帯)保証人への影響
こんにちは,東京都千代田区神田の法律事務所,アトラス総合法律事務所の関根です。
今回は、主債務者の破産と(連帯)保証人への影響についてご説明いたします。
⑴(連帯)保証人はどのような場合に保証債務を履行しなければならないか
Aさんの借金のために、Bさんが保証人になったケースを想定します。このときの法律関係を、Aさんを主債務者、Bさんを(連帯)保証人といいます。
このときBさんが通常の保証人であれば、基本的に、Aさんがお金を返せなくなった時に(Aさんが破産したなど)、Bさんの支払い義務が生じます。しかし、Bさんが連帯保証人の場合、Aさんが返せるかどうかにかかわらず、Bさんには支払い義務が生じます。
⑵支払い義務(保証債務)を免れることはできるか
基本的にできません。
ただ、保証契約を詐欺によって締結させられた場合や、時効によって支払い義務が消滅した場合等には免れる可能性があります。
⑶借金(保証債務)を支払えない場合はどうすればよいか
支払えない場合には、債務整理(民事再生、任意整理、破産申し立て)など、借金を少なくする・なくすといった手段が考えられます。
⑷主債務者が破産した場合でも、保証人は支払い義務(債務)を免れないか
免れません。これは破産法という法律によって具体的に定められており、借金をした人が破産をして支払いを免れた場合でも、保証人は支払いを免れないとされているからです。
⑸結語
保証契約は、自分がお金を借りたわけではないのにかかわらず、借りたときと同じような責任を負わせるものであり、保証人にとっては不条理極まりない契約です。
軽々に保証人となるべきではなく、保証人になった際のリスクを慎重に検討すべきです。
身に覚えのない保証契約や、保証人となったのはよいが、実際にお金を支払えない場合などは、是非、弁護士まで相談ください。
【ブログ】身元保証について
東京都千代田区神田にある法律事務所,アトラス総合法律事務所の関根です。
テレビドラマなどで「身元保証人」という言葉が聞かれたりします。「身元保証人」とお金を借りる際の「保証人」の違いは何でしょうか。
身元保証人に関する決まりは、「身元保証に関する法律」によって定められています。一方で、お金を借りる際の保証人は、「民法」によって定められています。つまり、そもそもの法律からして異なっているのです。
身元保証法1条には「名称の如何をとはず、期間を定めずして被用者の行為により使用者の受けたる損害を賠償することを約する身元保証」とあります。「被用者」「使用者」という言葉からして、この法律は、雇用関係に関するルールを定めた法律といえます。
また、「被用者の行為により…受けたる損害」という言葉から、会社で働く人が会社に損害を与えた場面を想定しているといえます。
このような規定からすると、身元保証人とは、就職先の会社に、ある社員が損害を与えた場合に、その社員とともに損害を賠償する責任を負う人ということができます。
しかし、考えてみると会社に与えることができる損害は、想定できるものではありません。社用車に傷をつけてしまった場合から、会社が倒産するようなものまで様々ですから、身元保証人は、理論的には損害賠償しなければならない責任の範囲が、無限定といえそうです。
この点、身元保証法には、2条の期間制限(3年間または5年間)、4条の解除権及び5条の賠償範囲の制限といったルールがあり、身元保証人の責任を制限しています。特に、賠償の範囲を制限した5条の規定は「使用者自身の過失」「身元保証人となった経緯」「被用者の身上の変化」等のあらゆる事情を考慮して、具体的に責任の範囲を決めるとされており、身元保証人の責任を必要かつ合理的な範囲に制限しています。
身元保証法の目的は、身元保証人の責任を軽減することにあると言えそうです。
身元保証法の施工日は1933年ですから、戦前にできた法律といえます。現代では、各種保険が発達しており、従業員が起こした事故などは、各会社が入っている保険でカバーされるのが通常となっています。
では、現代において身元保証が不要かというとそうではありません。しっかりした身元保証人がいる従業員にたいしては、雇用主も安心して雇い入れることができますし、うつ病等従業員の様子がおかしい時等には、身元保証人と協力して従業員に対応することもできます。身元保証人の必要性は、現代でも十分に認められるのです。
とはいえ、現代においても身元保証人の主な目的は、損害賠償の責任にあり、身元保証人に対する高額な損害賠償責任の可能性は、常に内在しているものといえます。
「身元保証」も「保証」も、保証した際のリスクを慎重に検討すべきです。
身に覚えのない保証契約や、保証人となったのはよいが、実際にお金を支払えない場合などは、是非、弁護士まで相談ください。
【ブログ】自己破産と連帯保証人
こんにちは。東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の山本です。
今回は,ご自身が,自己破産した人の連帯保証人になっていた場合に生じる問題点について書いてみたいと思います。
住宅ローンを組んだり,自動車をローンで購入するときなど,債権者から連帯保証人を求められることがあると思います。一般的には,ご両親や配偶者,ご親族の方などが連帯保証人になる場合が多いと思います。
それでは,お金を借りた人(「主債務者」といいます。)が自己破産をした場合,連帯保証人はその後どのような状況に置かれてしまうのでしょうか。
自己破産手続では,破産の申立てをするのと同時に免責許可の申立てを行い,最終的に裁判所から免責を得ることになります。免責とは,難しい議論に立ち入らずに簡単に言うと,債務を返済する責任を免れることです。
そうすると,破産手続きを行って裁判所から免責許可決定を得た人は,借金を返済する必要が無くなります。
では,その返済する必要のない借金の連帯保証人も主債務者と同様に返済する必要がなくなるのでしょうか。皆さんの中には,連帯保証人も返済する必要がなくなると思う方もいるかもしれません。
しかし,破産法253条2項は,「免責許可の決定は,破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利…(中略)…に影響を及ぼさない。」と定めています。すなわち,主債務者に対する免責の効力は連帯保証人には及ばないので,連帯保証人は従来どおり返済する必要があるということを定めているのです。
そうすると,連帯保証人に資力が無く返済が困難な場合には,今度は連帯保証人が借金問題を抱え込むことになってしまいます。連帯保証人は,一般的には,ご両親や配偶者,ご親族の方などがなっている場合が多いと思いますので,ご家族を巻き込んだ問題となってしまいます。
弊所では,ご自身が原因となり作ってしまった借金の問題だけではなく,今回のブログように連帯保証人に生じる債務問題についてもご相談をお受けしています。お一人で悩まず,どうぞご相談ください。
【ブログ】未払い賃金の立替金制度について2
皆さん,こんにちは。
千代田区神田にある法律事務所,アトラス総合法律事務所の山本です。
今回は,前回の続き,「未払賃金の立替払制度」についてです。
前回も触れましたが,企業が倒産(破産)した場合,従業員(労働者)にとってみれば,働いた分の給料(賃金)や退職金が支払われるかどうかはまさに死活問題です。「未払賃金の立替払制度」を利用するためには,細かな要件が決められていますので,今回は大枠の説明をしていきます。
①「立替払を受けられる人」
まず,会社が破産手続きを裁判所に申立てた日(例えば,平成27年1月26日とします。)を基準として,この日より6か月前の日を確認します(平成26年7月26日)。この平成26年7月26日から2年後の平成28年7月25日までの間に当該会社を退職した人が立替払の対象となります。
ちなみに,「6か月前」や「6か月後」といった期間計算の仕方については,「民法」という法律に期間の数え方の条文がありますので,別の回で書いてみたいと思います。
②「立替払の請求ができる期間」
破産手続開始決定の日の翌日から数えて2年以内に未払賃金の立替払請求書を独立行政法人労働者健康安全機構(以下,「機構」といいます。)に提出する必要があります。
③「立替払の対象となる賃金」
退職した日の6か月前の日から,機構に対する立替払請求の日の前までに支払期日が到来している「定期賃金」及び「退職手当」です。
定期賃金とは,労働基準法24条2項に定められており,基本給や家族手当,通勤手当などです。
④「立替払される金額」
未払賃金総額の100分の80の額です。ただし,退職日の年齢により立替払の額に制限があるため,注意が必要です。
このように,「未払賃金の立替払制度」を利用するためには,要件や請求の手続きが細かく決められていて,上記で説明したように期間の制限があるものもありますので,突然勤めている会社が倒産してしまい,しかも未払いの給与があって悩んでいる方は,是非すぐに法律の専門家である弊所弁護士までご相談ください。
【ブログ】保証債務と連帯保証債務の違い
こんにちは,東京都千代田区神田の法律事務所,アトラス総合法律事務所の関根です。
今回は保証債務と連帯保証債務の違いをご説明したいと思います。
保証債務と連帯保証債務の違い
⑴お金を借りる時の法律関係
Aさんが、銀行からお金を借りたというケースを想定しましょう。
このとき、Aさんは「お金を返すこと」を、契約として、約束することになります。この約束によって、相手に対して義務を負うことを、債務を負うといいます。
すなわち、Aさんは銀行に対し、「お金を返す債務」を負ったということができます。
⑵保証債務とは
住宅ローンのように多額のお金の貸し借りの際に行われるのが保証契約です。一般に、「保証人を立てる」というような言い方がされています。
保証契約とは、ある契約にしたがって生じた債務を担保するために結ばれるものであるのですが、それ自体も一つの契約ということができ、保証人も保証債務という債務を負うこととなります。そして、一般的な保証契約を締結した保証人が負う債務とは、「ある契約の債務を負う者(債務者といいます)が、これを怠った場合には、私が代わりに、その義務を果たします」というものです。
Aさんの保証人としてBさんがいた場合、Aさんが銀行にお金を支払うことができなくなった場合に、Bさんが代わりにこのお金を支払わなくてはならないこととなります。
⑶連帯保証とは
このとき注意しなくてはならないのが、「連帯」保証契約と、通常の保証契約は大きく異なるということです。
保証人は「債務者が債務を怠った場合に」代わりに義務を果たす者と説明しましたが、一般的な連帯保証の場合、「債務者と一緒に義務を果たします」という債務を負うことになります。
Bさんの保証契約の内容が連帯保証である場合、銀行はAさんがきちんとお金を返せる状態にあるとしても、Bさんに支払いを請求することができ、Bさんはこれを拒めません。
一般的に、住宅ローンや自動車ローンの場合には、連帯保証契約が行われることが多いと思います。これは、連帯保証の方が、お金を貸す側にとって、最初から2人同時にお金を支払ってもらえる権利がある等の点で、有利な契約内容となっているからです。
⑷まとめ
保証契約は、お金を貸す側にとっては非常に便利なものですが、借りる側・保証人側にとっては、非常に厄介な契約です。そして、契約である以上、これを怠れば、裁判等に巻き込まれる恐れがあります。
保証人となる際には、慎重に検討を行ってください。
身に覚えのない保証契約や、保証人となったのはよいが、実際にお金を支払えない場合などは、是非、弁護士まで相談ください。
【ブログ】未払い賃金の立替金制度について1
皆さん,こんにちは。
千代田区神田にある法律事務所,アトラス総合法律事務所の山本です。
今回は,「もしも勤めている会社が倒産したら給料はどうなるの」というテーマで調べてみたことを書いてみます。
会社が倒産(破産)した場合,従業員にとっては,「おいおい,働いた分の給料って払ってもらえるよね!」という点が気になりますよね。生活に直結する一番大事な問題ですから。
会社が破産する場合,「破産法」という法律が適用されて,裁判所と破産管財人の関与のもとに会社を清算するための手続きが進められていきます。
簡単に説明すると,「破産」とは,会社がすべての債権者に全額の支払いができない状態になってしまったので,今ある会社の資産をお金にかえて,債権者に平等に配当しようという手続きです。
このように,破産は,債権者に平等に配当する手続きなんですが,給料は生活に直結する大切なものですから,破産法は「破産手続開始前三月間…の給料」は,「財団債権とする。」(破産法149条1項,退職金については同条2項)と定めて,一般の債権よりも優先的に弁済することを認めています(破産法151条)。
でもこれって,会社に払えるだけのお金が無ければ,結局払われないことになってしまいますよね。いわゆる「絵に描いた餅」です。どうしよ,明日からの生活に困ります。
そこで,独立行政法人労働者健康安全機構が,「賃金の確保等に関する法律」に基づいて,未払い賃金の一部を政府が事業主に代わって立替払する制度が用意されています。
次回から,この立替払制度を詳しく調べてみますね。
【ブログ】受任通知とは
こんにちは,
東京都千代田区神田にある法律事務所,アトラス総合法律事務所の山本です。
今回は,なんとなく分かっているようで分かっていない債務整理の基本知識について書いてみます。
皆さんは,債務整理の場面において,弁護士の「受任通知」って聞いたことがありますか?
その名のとおり,債権者に対して,債務者の代理人として弁護士がついた(受任した)ので,もう本人や家族等に請求しないでくださいね,ということが書かれた文書です。
でも,なんで,この文書が送られてくると,債権者は債務者に請求してはいけないんでしょうね,その根拠ってご存知ですか?
実は,これにはちゃんと法律上の根拠があるんです。貸金業法第21条1項9号に定められていて,簡単に説明すると,受任通知後の電話や電報,FAX,訪問の方法による取り立てが禁止されています。興味のある方は,直接法律にあたってみてください。
このように,法律の世界って,分っているようで分からないことがまだまだ沢山あるんですよね。しかも,インターネット上には無責任にも本当かどうかわからない情報がたくさんころがっています。氾濫する情報に惑わされることなく,困った時にはいつでも弊所までご相談ください。法律のプロである弁護士が皆様の問題を解決するために対応いたします。
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